キャラクター
◆ヴェイグ・リュングベル
厳しい寒気と美しい景観の同居する、北辺の村スールズ。
そのスールズで生まれ育ったヒューマの若者。
幼い頃に両親を亡くし、幼馴染のクレアの家に引き取られ、実の家族同然に育てられた。
だが一年前の「ラドラスの落日」をきっかけに、心を閉ざし、
周囲と言葉を交わすこともなくなってしまった。
そのため、ともすると他人からは冷たい男と思われがちだが、
本当は間違ったことを見過ごせない、熱いものを秘めている。
村の暮らしは平和で、冒険など考えたこともなかった。
だが彼とその周囲を襲った出来事は、
彼からそんな穏やかな日々を根こそぎ奪い去ることになる。
◆クレア・ベネット
厳しい寒気と美しい景スールズに住むヒューマの娘。
幼い頃に引き取られてきたヴェイグとは、人情篤い両親のもとで家族同然に育てられた。
ヴェイグにとっては数少ない気を許せる存在で、
無口で無愛想な彼もクレアの前では表情を和らげる。
村でも評判の器量よしの彼女は、
他人を思いやる優しい心根と精神的な芯の強さを併せ持った娘。
他人の欠点よりも長所に気付き、
誰とでも分け隔てなく接することができることもあって、皆から好かれている。
生まれ育ったスールズを離れる事などほとんどなかったクレアだが、
思いがけない運命が彼女を故郷から引き離す。
それでも逆境にあってもなお、彼女は明るさを忘れず、周囲に希望を与え続ける。
◆マオ
まだあどけなさの残るヒューマの少年。
冗談好きで明るく活発な性格だが、
実は一年前のさる事件をきっかけに記憶を失ったらしく、天涯孤独の身の上である。
そんな彼を保護したのがユージーンで、そのためユージーンを父親同然に慕っている。
ユージーンが旅に出た時も一も二もなく後を追い、
やがてスールズに行き着いた二人はヴェイグを外の世界にいざなうことになる。
失ったものよりも、これから出会うものに思いを向ける、そんな少年。
◆ユージーン・ガラルド
黒く艶やかな毛に覆われたガジュマの大男。
鍛え抜かれた肉体は紛れもない武人のそれながら、
冷静沈着で洗練された物腰からはそれ以上のなにかを感じさせる。
なにか過去を背負っているらしいが、自らそれについて語ることはなく、
ただ己に課した使命のために生き続ける男。
カレギア王国に忍び寄る影を感じ取った彼は、
マオと共にその正体を見極めるべく旅を続ける。
だが他の者同様、彼もまたその影から完全に逃れることはできず、
それは彼に深い苦悩をもたらすことになる。
◆アニー・バース
思いがけない場所でヴェイグたちの前に現れるヒューマの少女。
その高い教養と物腰は育ちの良さをうかがわせる。
彼女は、とある出来事が原因で、ガジュマという種族そのものを嫌っており、
その事が、彼女の表情に暗い影を落としている。
本来の彼女は医者を志す、傷つきやすく心優しい普通の娘である。
彼女が自身の問題を乗り越え、明るさを取り戻す日が来るのかどうか、それは誰にも分からない。
◆ティトレイ・クロウ
巨大な煙突が立ち並ぶ工場の街、ペトナジャンカで生まれ育ったヒューマの若者。
生まれついての熱血漢で、とにかく曲がったことが大嫌い。
言っていることは間違っていなくとも、
考えるより先に返事をする直情系であるため、
しばしば仲間を厄介ごとに巻き込んでしまうが、本人は悪びれずケロリとしている。
快活さが人の形を取ったような彼は、どんなときでも前向きで、過去のことにこだわらない。
よくしゃべり、よく笑う姿はちょうどヴェイグと正反対である。
ちなみに姉が一人おり、まるで頭が上がらない。
◆ヒルダ・ランブリング
冷ややかで妖艶な雰囲気の漂う美女。
肌身離さず持ち歩くタロットを使う、
腕のいい占い師である。
戦いに際してもこのタロットを武器とし、
まるで研ぎ澄まされた刃物のように敵を切り裂く。
敵には手段を選ばず容赦しない冷徹さを、
また敵でなくとも辛辣な皮肉を浴びせることがあり、
それは彼女が友愛とは無縁の厳しい人生を歩んできたことを窺わせる。
とある密かな、しかし強い望みを抱いており、
それが彼女を支え、衝き動かす原動力となっている。
だが、それらについて決して自ら語ろうとはせず、謎の多い人物である。
◆アガーテ・リンドブロム
美しい毛並みと洗練された優美さを身にまとうガジュマの姫君。
急逝した父王の跡を継いで、ヒューマとガジュマを統べるカレギア王国の女王となる。
いかにも深窓の令嬢といった趣で、生まれてこの方、
王城のある都を出たこともなく、ありていに言えば世間知らずである。
彼女もまた、ある秘めた思いを抱いており、
時にそれは意外なまでの決断力や行動として現れる。
よくも悪くも純粋でひたむきな彼女だが、そこに女王の権力が加わった時、
周囲を巻き込まずにはすまない事態を引き起こすことになる。